「守護霊刑事」
著者:藤崎 翔
名刑事の孫ということあって、天才的素質を持っていると期待されている主人公(大磯拓真)が次々と難事件を解決していく物語……ではなくて、実は事件を解決に導いているのは主人公の守護霊となった祖母(大磯八重子)だったという内容である。
買う際に雰囲気からしてホームズとワトソンみたいな感じなのかなと題にひかれて買った。
そして、買った後で気づいたのだがコメディとミステリ複合ジャンルだった。
名探偵物には警察側が事件を解決してはいけないというか、苦戦している役を与えられ、そこに名探偵が現れて隠れた謎を解決し、最後にお決まりみたいな感じで事件を解決し犯人を捕まえるという……なんだろうか、お決まりみたいな面白さがある。
この小説もそのお決まりみたいなものにもれず、さらにはコメディが加わった点がなお面白かったと思う。主人公は名探偵じゃなく期待の新人刑事という立場だが。
こういった話は多少現実から離れている、でもそれが良い。独鯉署の刑事たちは事件を解決しない方に役が動くため現実的に見ると大丈夫かと思うが、それはお約束のこの世界。気にならない。
そして、主人公がドジなところがこの話をより面白くしていると思う。コメディとしての機能は言うまでもなく、名探偵の前ではある程度皆ドジと言うか、そう事件を解決する役を名探偵以外がやっては形が崩れるじゃないか。
名探偵としての役の祖母と行動役としての主人公が直接会話できない所も面白さのポイントだと思う。その間を取るのがコンビニの女性店員てところも。まあいわゆるヒロイン役もいるというわけだ。
ほぼ主人公の祖母が事件を解決に導くのだが、最後には主人公が自分の力で事件を解決する。でもやはりドジは変わらない。これが最後の結末の付箋になっているのだろう。
少しずつミステリも楽しめるようになっていきたいが、今はこういった簡単なジャンルのから入るのが私にはよいのかもしれない。ただ、いちよう「そして誰もいなくなった」は読んでいるんだよね。