「だれも猫には気づかない」 おとぎ話のようなロマンあふれる物語でした

「だれも猫には気づかない」
著者:アン・マキャフリー

前回も猫が活躍する話だった気がするけど……。とはいえ今回は人語をしゃべる猫ではありません。妖怪ではなく、すばらしい猫です。

内容としては良き摂政マンガンが飼っていた猫が、マンガンが世を去った後に代わりに摂政を務めるというものですが、これがかなりロマンあふれる物語でした。

この主役の猫の名前はニフィ。でも、物語はニフィの視点ではなく人間の視点で語られています。ニフィは重要な場面には必ずその場にいて、しかし、そうでない場合は猫として場に溶け込んでいます。そのため、ニフィの活躍には物語の中では一部の人物しか気づきません

ニフィの活躍は時として勇敢に領主の命を救ったかと思えば、はたまた重要な書類の確認をして内容が十分かどうか領主に知らせたり、ましてや国を危機から救うこともするという壮大なものでした。でも、それを分かっている登場人物以外から見ると普通の猫の行動にしか見えないことが面白い点の一つです。領主の侍従長も初めの方はにニフィに摂政を任せている領主に納得できないといった感じのセリフを言っています。

このように猫が摂政をするという点だけでも現実とはかけ離れていてロマンを感じるものですが、それに合わせて領主の恋、別の国が絡んだ政治的陰謀やら、加えて宴会が何度も行われる様子は、おとぎ話のようでありこれもまたロマンチックだと感じました。

中編であり話はさほど長くなく、重い話ではないので気軽に読めることから、ちょっとした休憩時間や寝る前に読むのが良いと思いました。