「目白台サイドキック 女神の手は白い」 隠された謎は事件だけじゃなかった

「目白台サイドキック 女神の手は白い」
著者:太田忠司

ミステリはさほど読まないのだが、たまに興味が湧きます。この本は多分表紙の絵が気に入って買ってきたのだろう。いつの間にか棚にしまってありました。買って読まずに保管しておく癖なんとかしないといけないなと思っています。

何といってもキャラクターが引き立っている作品だったと思います。若手刑事無藤は二人の相棒と共に事件解決に動きまわるのですが、その二人の相棒がちょっと変わっていて面白い。片方は根っからの文系で伝説の刑事である南塚浩平、もう片方は根っからの理系で名家の当主である北小路準です。

北小路の屋敷での事件解決へ向けてのやり取りは魅力的なものを感じました。無藤と二人の相棒だけでなく、屋敷の使用人もとても個性が強く面白い。

謎解きの方も読んでいて楽しかった。伏線の使い方が素晴らしく、読んだ後でなるほどなと、そして再度読み返してみたくもなりました。

ただ、私は今回早めに犯人が分かってしまった。それはミステリーでの謎解きとしてはちょっとズルに近いことをしたためです。後ろの方を読んだわけではありません。もし、私が犯人役を作るとして、謎の内容から後の方でポツッと出てきたキャラが犯人だったなんて、そんなことはしたくない訳です。

何気に犯人とは無関係そうでも登場の仕方が犯人の”それ”だなと思ったことから、この人が犯人だと推定した訳です。だからと言って、読んでて面白くなかったわけじゃないし、むしろ自分の考えが正しいと読み進めると確信が持ててくること、伏線やミスリードに気が付けることがより楽しいこと、さらにはミスリードによってもしかして……違ったかと考えを変えようとしたりしなかったりできたことが面白かったことなど、とても良かった。

謎が解けて犯人が分かった瞬間、さあ終わったな次は何を読もうかと考えていました。ですが、この話の謎は犯人と事件だけではなかったのです。その謎が開かされた時はついつい、はしゃぎ過ぎてしまった。近くにあったフィットネスボールを手でバシバシと叩きつつ、「これは面白い、そんなのありかよ」と言い、笑いながら最後の方を読んでいました。しかも、その伏線がそこら中に散らばっていたことも感じつつ。

だいぶ前に買った本なので時代が携帯時代な点がちょっと気になりましたが、シリーズものらしいので続きも読んでみたいなと感じています。